1日目ー過去話④

働き始めた当初からお金は貯まらなかった。

オンラインゲームや友人との遊び、欲しい物はどんどん買った。それでも借金やギャンブルとは無縁だった。

 

狂い始めたのはあるなんでもない日だった。

 

私はいつものように小学生来の親友(以下、Aと呼ぶ)と遊ぶ約束をしていた。

昼ぐらいに私が車で迎えに行く。いつものパターンだったが、その日は違っていた。

Aがパチンコで当たり続け約束に間に合わなかったのである。

 

ゲーセンで遊ぶことはあっても、パチンコ屋には入ったことがなかった。

私は興味本位で迎えに行ってしまうのである。

 

 

着いた私はけたたましい音と光に驚きつつ、内心ドキドキしていた。

Aを見つけ、まだ当たっているのを確認し時間を潰そうとぐるぐるパチンコ屋を回っていた。

 

5分ほど過ぎやることもなくなった私は友人の隣に座り、やり方を聞き、ついにお金を入れてしまった。

Aは全く悪くないが、これが私が最底辺を引き摺り回る、最初のきっかけだったのかもしれない。

 

その日は当たらなかった覚えがある。

ただ、そこから私は「パチンコ屋に入る」ことが出来るようになった。

 

あの頃、Max全盛期で花の慶次牙狼等があった。

10年くらい前、数値こそうろ覚えだが、哲也のMAXタイプで30連近くし20万弱を持ち帰った覚えが未だにある。

 

当時の月給を超える金額が、ものの数時間で手に入ったのである。

私の中の何かがおかしくなったのを、私は忘れていない。